世界で一番上手いギタリスト
この質問の答えは人によって変わってくると思います
技術面でも早弾きやカッティングを重視する人もいるだろうし、「スライドプレイでは右に出るものはいない!」や「この絶妙なタイム感がたまらない」と言ったところで決める人もいるだろうと思います。
僕にとっての世界で一番上手いギタリストはジャンゴ・ラインハルトです。
彼はジプシー出身でフランスで活躍したギタリストです。
ジャンゴ・ラインハルトの伝説
彼はジプシーが発達させていったロマ音楽とスウィングジャズを融合させた「ジプシースウィング(マヌーシュ・ジャズ)」というジャンルを確立させました。
ジャンルを一つ作ってしまうだけでもすごいのですが、彼のすごいところはそれだけではありません。
彼は左半身に大やけどを負ってしまい、左手の薬指と小指が動かせないのです。
それでもジャンゴは努力の末に独自の奏法を生み出し、音楽活動を再開させてしまったのです。びっくり!
基本的にソロは人差し指と中指で弾き、やけどで動かなくなった2本の指はコードを押さえる時にしか使用していません。
クラプトンがトップギタリストの条件を聞かれたときに「どちらの手にも指が2本以上あって、あとは耳があればいい。」と答えたのは、少なからずジャンゴの存在があったからだと僕は勝手に思っています。
さらに、フランスがナチス・ドイツに占領されロマの迫害が激化し、さらには音楽は駆除対象となっているいるにも関わらず、ジャンゴの音楽はドイツ軍人にも気に入られ、堂々と演奏を許されていたのです。
ジャンゴの魅力
彼の演奏技術は高いです。
ジャンゴの有名な曲「I'll see you in my dreams」
僕にとってのジャンゴ曲「I saw stars」
本当に2本の指が動かせないのかと疑うほど。
それでも、技術だけなら上のギタリストは確かにたくさんいます。
だけれども僕がもっと評価して欲しいのは、この情緒溢れるメロディー。
こんなにも聴いていて心地よい音楽を僕は知りません。
早いフレーズはだいたいが”ただ早いだけの音”となってしまうのに、ジャンゴの場合はちゃんと一音一音が意味を持っているように感じられます。
よく「音楽は会話だ」と表現されますが、ジャンゴのギターはまさにギターが歌い、心に話しかけてくるのです。
技術と表現力をここまで兼ね備えたギタリストとなると、ものすごく少数だと思います。
しかし、その少数の中でも僕にとって彼をナンバー1にたらしめる理由がちゃんとあります。
それはバイオリニストである盟友ステファン・グラッペリの存在です。
ジャンゴのギターはグラッペリのバイオリンとの会話があるからこそだと思います。
さまざまなギタリストがメンバーと会話のような演奏をしますが、ここまで音楽を一つの言語としてちゃんと会話が出来ている人はいないでしょう。
このグラッペリとの会話こそがジャンゴのギターの良さを無限に引き出しているのです。
もう本当にすごい。
このステファン・グラッペリがいるからこそ、僕は胸を張ってジャンゴが世界一のギタリストであると言えます。
ジャンゴの詳しいことは「ジャンゴ・ラインハルトの伝説」という本に載っています。
なかなか面白いのでよければ読んでみてください。
ジャンゴ・ラインハルトの伝説 音楽に愛されたジプシー・ギタリスト
- 作者: マイケル・ドレーニ,小山景子
- 出版社/メーカー: シンコーミュージック
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みなさんにとっての世界一上手いギタリストは誰ですか?
では。